大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和39年(オ)365号 判決 1966年1月18日

上告人 岸ヒサノ 外一名

被上告人 国 外二名

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人宗政美三の上告理由について。

第一審判決を一部訂正のうえ引用する原判決の確定するところによれば、原審認定の本件における事実関係のもとにおいては、原判示の理由により、被上告人松浦福徳、同友盛芳邦が本件土地の占有をはじめるに際し善意無過失であつたと認めるのが相当であり、また、訴外比和町農業委員会の所論請求認諾は上告人ら主張の時効中断事由に該当するものではなく、前記被上告人両名が所有の意思を放棄した旨の上告人ら主張事実は証拠によつては認められないというのである。そして、原審は、右の事実によれば、前記被上告人両名は時効により本件土地所有権を取得した旨判断しているのであり、原審の右認定判断は挙示の証拠により是認することができる。所論の実質は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の採否、証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、原判決に所論の違法は存しない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、九三条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判官 田中二郎 五鬼上堅磐 横田正俊 柏原語六 下村三郎)

上告理由書<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例